メインシステム #
PoIC システムを構成しているのは「情報カード」と「ドック」の二つだけです。このシンプルさがシステムを頑強なものにしています。
Contents #
情報カード 5x3 方眼 #
コレクトの情報カード 5x3 方眼(C-3532)。
PoIC において、情報の基本単位となるのは「情報カード」です。情報カードには、5x3 インチサイズの「方眼(セクション)」を使います。
なぜ方眼を使うの? #
日本において「情報カード」と言った時、梅棹忠夫氏の「知的生産の技術」(1969)の中で紹介されている「京大式カード」(罫線カード)が真っ先に頭に浮かぶ方も多いでしょう。
そのような状況の中で、あえて方眼を選ぶ理由は何でしょうか? それは、文字や絵を描く時に、より自由な感じがするからです。方眼は、グリッドの間にも、グリッドの上にも文字を書くことができます。その気になれば、縦書きもできます。使用する際の自由度は、方眼の方が罫線よりも高いと言えるでしょう。無地でもよいですが、字や絵を書く際は、方眼のグリッドをガイドにした方が格段にキレイに仕上がります。
これらの理由に加えて、PoIC では方眼カードの上辺に見えるグリッドが「タグ」を付ける時に重要になります。このタグは、グリッドの揃った方眼のカードを使った時に一番きれいに書くことができます。
タグを付けた数百枚・数千枚のカードを「ドック」に入れると、遺伝子研究に用いられる「アガロースゲル電気泳動」のパターンに似た、一連の「コード」が発現します。
自分に合ったサイズの決め方 #
方眼の情報カードは、現在、コレクト社 [リンク切れ] とライフ社 [リンク切れ] から発売されています。この二社の方眼カードの違いは、グリッドの色と間隔です。コレクトの方眼カードはグリッドが水色で5 mm 間隔、一方、ライフの方眼カードはグレーで6 mm 間隔です。好みや入手性で選んで下さい。情報カードは最寄りの書店・文房具店では取り扱っていない場合も多いです。その場合は、Amazon や KDM などのインターネットサービスを利用した方が良いでしょう。
ここでは 5x3 サイズを挙げましたが、使用する情報カードのサイズは個人の好みや用途に大きく依存しています。大きさを決める時は、例えばレポート用紙や B6 情報カードなどの 5mm 方眼の紙を用意し、5x3(= 125 mm x 75 mm)、6x4(= 150 mm x 100 mm)、B6(= 183 mm x 129 mm)のサイズに切って、実際に書き込んでみます。そうすることで、自分の用途に合ったサイズを把握しやすくなります。
サイズが決まったところで、1パック買ってきて、実際に使ってみます。
初めの1パックは練習・書き捨てぐらいのつもりで、あまり難しく考えずに、気楽に使い切りましょう。
ストックに関して #
1パック分のカードを書いてみて、「この大きさでよい」と決まったら、今度は一度にたくさん買ってストックしておきます。たくさん買っておけば、手元にどのくらいカードが残っているかを心配しなくて済みます。カードの残量を気にしながら書くのは、バッテリーを気にしながらノートパソコンを使うようなものです。カードは豊富に用意しておきます。
カードのストックに関して、梅棹 (1969) は、次のように述べています。
「だいじなことは、カードをかく習慣を身につけることである。どうしたら、その習慣が身につくか。根気よくつとめるほかないのだが、たとえば、つぎのような方法はどうだろうか。それは、おもいきってカードを一万枚ぐらい発注するのである。一万枚のカードを目の前につみあげたら、もうあとへはひくわけにはゆくまい。覚悟もきまるし、闘志もわくというものだ。」(p. 64)
この驚くべき提案は、野口悠紀雄氏の「超」整理法 (1993) をはじめ、生産性に関する様々な本の中でも引用されています。コレクトの情報カードの厚みは100枚で1.8 cm です。一万枚を積み上げたら、1.8 m もの高さになります。
個人のカードシステムで、これは実行するのはなかなか難しいので、私は半年分として一度に20パック(2,000枚)程度を買うようにしています。文房具をたくさん買ってストックしておくのはよい習慣です。心理的な余裕は、生産性の向上にもよい影響を及ぼすようです。私は、情報カードの他にも、測量野帳、水性ペン、クリアファイル、プロジェクトペーパー(レポート用紙)も、たくさん買ってストックしています。
Tips #
2010年、ダイソーから100円の情報カードが発売されました!
ドック #
カードの準備ができたら、次にカードを保存する箱を用意します。カードを保存する箱は、最初はどんなものでもよいです。紙箱、プラスチックの箱、木箱、なんでもよいです。部屋の中を探すと、お菓子の箱などが見つかると思います。
箱からドックへ #
カードが順調に増え、数百枚になったところで、より本格的な、大きなカードボックスを用意します。
PoIC ではこれを「ドック」と呼びます。小さい船が埠頭(ドック)に入ってくるように、自分の書いたカードがすべてそこに集まってくるからです。
ドックの重要性は、カードの数が増えるにしたがって増していきます。カードは、言うまでもなく、一枚一枚がバラバラの状態です。その辺に適当に置いておくと、すぐに散逸してしまいます。すべてのカードをドックに入れることを習慣付けることで、カードの散逸を防ぎます。
ドックの置き場所とセキュリティ #
下の写真は、私が使っているドックです。私はコレクトのカードボックス [リンク切れ](C-153DF)を使っています。システム拡張性を考えて、値段の手頃な MDF 製を選びました。これ一つで1,500枚(公称では1,000枚)の情報カードが入ります。
コレクトのカードボックス(C-153DF)。PoIC では、カードを入れる箱を「ドック」と呼ぶ。
コレクトのカードボックスには、カバーも付いてきますが、中のカードがいつも見えるようにするために、普段は外しておきます。
ドックは机の上の常に目に入るところ、手の届く範囲に置いておきます。
もし誰かにドックの中を見られているという心配があると、たとえやましいことは何一つないとしても、正直なことが書けなくなってしまうかもしれません。そのような場合には、机の引き出しの中にドックを収納しておきます。カードには思ったことをなんでも書いて良いという前提があればこそ、いろいろなアイディアが生まれます。
ポケット一つ原則 #
野口 は、「超」整理法 (1993) の中で「ポケット一つ原則」という考え方について述べています。もしポケットが一つしかなく、すべてをそこに入れるのであれば、探すのはそのポケット一ヶ所だけで済みます。しかし、ポケットが二つ、三つと増えたら、その全部を探さないといけなくなります。あとで探す労力を減らすのなら、ポケットは一つしか使わないのが賢明である、ということです。
具体的には、自宅と会社と、独立した2つのドックシステムが必要になる場合も考えられます。しかし、理想として、ドックシステムの数は少ないに越したことはありません。ドックシステムの数が少なければ、「カードをどこにやったっけ?」といった類いの問題に煩わされることはありません。
そうしておけば、私たちの書いたカードは、最終的にはすべて1ヶ所に集まってきます。そして、ドックの中を探せば、カードはいつも必ずそこにあります。
人生そのもの #
PoIC では、カードを使って個人の生活を追跡していきます。ドックの中は、私たちが見たこと、聞いたこと、考えたこと、発見したこと、やってみたこと、読んだことで満たされていきます。これは単なる日記以上のもの、いわば私たちの「人生そのもの」です。