43Tabs システム

43Tabs システム #

野ざらし亭氏による 43Tabs システムの解説。

Contents #

43Folders ならぬ 43Tabs #

私はミニマルなアナログ TODO システムを模索していました。デスクワークの際に突然思い付いた TODO を記録するために、iCal やその他スケジュール管理ソフトを起動したり、ブラウザを立ち上げて Google カレンダーにアクセスしたりしているうちに、当の TODO を忘れてしまうということがあるからです。そこで、とりあえず手近にあるメモ用紙や RHODIA などに忘れないように書いておくのですが、それをまたキーボードで打ち直すのも面倒くさく感じます。このメモ用紙をそのまま使えないだろうかと考えたのが、私がミニマルなアナログ TODO システムを求めるきっかけになりました。

最初、私は GTD で紹介されている「Tickler File」を考えました。これは、書類を先送りにするシステムで、A4 サイズの個別フォルダを12か月+31日分の43枚利用します。しかし、メモ一枚を放り込んでおくのに A4 個別フォルダを43枚用意するのは現実的ではありませんでした。私が先送りにしたいのはメモに書かれた TODO であって、ビジネス文書ではありません。後に、コクヨから A6 サイズの個別フォルダが販売されているのを知り、A6 版の「Tickler File」を考えましたが、ちょうど良いフォルダボックスが見当たらないため、断念しました。

そこで、次に私は名刺を入れることができる封筒を利用してはどうかと考えました。名刺サイズのメモ用紙に TODO を記し、封筒に入れ、日付け順に管理しておいてはどうだろうかと考えました。しかし、このアイデアもメモが複数になっていくと封筒に入りきらなくなり、しかも、封筒を開けなくては、その日に TODO があるのかどうか分からないのです。いちいち中を確認するために封筒を開くのも面倒です。

そんな時に、私は「カムアップ・システム」を知りました。「カムアップ・システム」は、生産管理の生産統制における管理システムです。

『納期遅れを防止するために、その工程の納期日を管理し、納期が到来するn日前に「納期がn日後に迫っています。」という 警告を発生する予防型進捗管理の一手段』

また「生産計画とスケジューリングの用語集」のよれば、『To Do リストを管理する方式(コンピュータを利用するとは限らない)。仕切紙のタブに日付を記入し、これを使ってカードを時間の順に整理して、その日にやらなければいけない仕事がその日になると手元に現れてくるようなやり方がしばしば用いられてきた。』とあります。

これは機能的には「Tickler File」と同様のものだと思われます。PoIC を知り、5×3サイズの情報カードと仕切りタブ(見出しカード)を大量に購入してあったために、これを利用することを思い付きました。実際の生産管理での「カムアップ・システム」のやり方は分かりませんので、運用方法は「Tickler File」方式を取り入れました。

つまり「43Folders」ならぬ「43Tabs」という訳です。

43Tabs システム #

以下に「43Tabs」システムの運用方法を記します。

用意するもの #

  • 情報カード 5×3サイズ (コレクト C-3532 セクション 5ミリ方眼)
  • Tab インデックス(ライフ J116 仕切見出 5x3)5山のものが3枚ずつ入ってるので4セット必要
  • RHODIA No.11
  • 筆記具 最低でも2色が必要
  • Tab ケース 100円ショップ「Can DO」や「Meets」で売っている「クリアークラフトケース」のレタースタンドというポリスチレンケースが最適。なければ、ライフのシンプリー BOX などでも代用可。
  • 卓上カレンダー 繰り返しのタスクを次の督促日に振り替えるのに必要。

Tabケースについて #

これは『U*NI*SON』というシリーズらしく、『クリアークラフトケース No.199 レタースタンド』というのが正式名称らしいです。この「レタースタンド」は、中に仕切り板があり、前後に二分割されているので、後で述べるように PoIC との併用が可能です。 しかし、これ「レタースタンド」と銘打たれているものの、ハガキを横向きにすると入らないし、縦にすると余ります。封筒では尚更です。携帯電話やリモコンを縦に置いてある説明図が描かれているのですが、そうした用途にも使い辛そうで、実際にはもう5×3カード以外に何を収納せーっちゅうんじゃ、ってほど縦横ともジャストサイズです。しかも、側面が斜めになっていて、カードの取り扱いも容易になっています。

他に『クリアークラフトケース No.198 ペンスタンド』というものがありますが、これが RHODIA No.11がぴったりと収まる幅に、綴じ部分(千切ると残る部分)が突き出て取り出しやすいという高さの、素敵なサイズ。もちろんダイソーの偽ロディアもきちんと収まります。RHODIA No.11を二冊ほど、ペンを何本か放り込んでおくのに充分な容量です。

この「レタースタンド」と「ペンスタンド」は同シリーズの『クリアークラフトケース No.197 ペントレー』に載せることが出来ます。「ペントレー」は「レターボックス」ひとつと「ペンスタンド」がふたつが収まるサイズですが、「ペンスタンド」をひとつだけ載せると、余ったスペースにスタンプ台と回転式日付けスタンプ(5号)を置いておけます。

つまり、「ペントレー」の上に「レターボックス」と「ペンスタンド」、スタンプ台と回転式日付けスタンプという、PoIC (+43Tabs) セットを非常にコンパクトに、そして見た目良く構築することができるのでお勧めです。尚、ケース内にクラフト紙が敷かれている(これが『クリアークラフトケース』の名の由来だ)のですが、このクラフト紙にナチュラル、ワインレッド、ネイビーブルーの3色があるのを確認していますので、好み、用途に応じてお好きな色を選ぶのも楽しいでしょう。

運用方法 #

Scheme of the 43Tabs system operation.

準備 #

  1. 5山のインデックスから、一番左側に山のあるものを12枚抜き出し、それぞれ1〜12のナンバーを振る。手書きでも、スタンプでも良い。これが「月」のインデックスになる。
  2. 残りの4山のインデックスに1〜31のナンバーを順に振る。手書きでも、スタンプでも良い。これが「日付け」のインデックスになる。
  3. 「日付け」インデックスと「月」インデックスを順に並べる。
  4. 「日付け」インデックスを1〜昨日まで(=A)と今日〜31まで(=B)に分け、Bの束の後ろに今月の「月」インデックスを置き、その後ろにAの束を置き、来月以降の残りの「月」インデックスを順に並べる。
  5. 全てのインデックスを Tab ケースに入れて、準備完了。

運用 #

  1. 繰り返しの TODO は情報カードに書く。毎週×曜日とか、毎月×日とか、毎月第×金曜日などと実行日を記し、左上の方眼を赤く塗り潰す。これは PoIC との整合性のため。
  2. 通常の一過性の TODO は情報カードや RHODIA (横位置で使用する)に実行日を記し、内容を書く。後で転記するため、一件一枚にはこだわらない。
  3. カード、或は RHODIA を、実行日から逆算した督促日のタブの前に放り込み、忘れる。RHODIA は横にして入れる。
  4. 就寝前に当日のインデックスを、或は起床後に前日のインデックスをケースから抜き出し、来月インデックスの直前に挿入する。
  5. 当日に TODO があれば、情報カードや RHODIA が現れるので、タスクキャリア(メモ帳、手帳、PDA、iCal、Googleカレンダー、エディタ、ワードなどなんでも良い)に転記する。
  6. 一過性の TODO の場合は情報カードもしくは RHODIA を捨てる。繰り返しの TODO は情報カードを次の督促日に放り込む。
  7. 以上を繰り返す。

基本的には、タスクを書き、督促日に放り込み、日毎にタブをめくる、という3ステップになります。

タスクキャリア #

タスクキャリアは、転記した TODO を見るためだけのビューアではありません。新たに思いついた後日実行すべき TODO を書き加えたり、 当日消化してしまうフラッシュタスクを処理したり、データとして情報を蓄えたり、という書き込み作業を行うためのものでもあります。そして、そのようなタスクキャリ アに求められるのは、持ちやすさ、書きやすさ、見やすさ、手軽さ、の四点だと思われます。

1. 持ちやすさは、サイズのことで、自分のポケットへの納まり具合、及び取り出しやすさに関わってきます。 2. 書きやすさは、紙質のことではなく(それもあるが)、取り出した後、以下に素早く書き付けることができるかということです。 3. 見やすさは、一覧性のことです。書き記したタスクの全体が一目で見渡せるということです。 4. 手軽さは、価格や使い捨て出来るなどの心安さのことではなく、43Tabs に戻すタスクシートがいかに作成しやすいかということです。

TODO を思いついて書き記し、それをさらに転記して、ということになると運用効率が悪くなりそうですし、持ちやすさ、書きやすさ、見やす さ、の観点を加味すれば、必然的に『RHODIA No.11』か、もしくは『Hipstar PDA』としての5×3サイズの情報カードをタスクキャリアとして持ち歩くということになりそうです。或いは5×3サイズの情報カードと RHODIA を、 当日のタブの前に放り込まれた TODO と共に Moleskine MemoPockets に放り込んで持ち歩くという方法も考えられます。

PoIC との併用 #

Information and time-axis in PoIC + 43Tabs system.

『クリアークラフトケース No.199 レタースタンド』を使用した場合、前述したようにケースの真ん中に仕切り板があり、その前方部分だけで「43Tabs」は運用出来、後ろ半分が余ることになります。通常この部分には情報カードのストックを収めておくこととなりますが、この部分を利用してPoICを併用することもできます。つまり『PoIC + 43Tabs』システムです。PoIC に関して、詳しくは PoIC のメインページを読んでください。

もし、その日に転記し、消化した TODO(を記した情報カード)が重要なものであれば、情報カードの上部の左から二番目の(或は四番目の)方眼を塗りつぶ してから、Tab ケース後半の PoICスペースの最前面に放り込んでしまえばいいのです。それは未来から漂流(フロー)してきたひとつの TODO が、過去 として固定(ストック)され、スタックされた瞬間です。

『PoIC + 43Tabs』システム #

私の乏しい経験の中からですが、私は PoIC はT ODO 管理には向いていないのではないかと考え始めました。そして「43Tabs」を思いつきました。そして「43Tabs」は PoIC を補完するものだと思っています。何故なら、PoIC は「ストック情報」であり、現在から過去に向かって過ぎていく時間を記録し、蓄積したものですが、「43Tabs」は「フロー情報」であり、未来から現在にやってくる時間の中に存在するはずの予定を捕捉し、配置していくシステムだからです。

未来から現在までを管理するのが「43Tabs」であり、過去から現在までを見通すのが「PoIC」である考えるとき、現在を中心に時間軸を分断し、前部に「43Tabs」を、後部に「PoIC」を配置した『PoIC + 43Tabs』システムは、時間の模式図としてなかなか良く出来ているのではないでしょうか。

現時点で、未来から過去までをミニマルに統合したこの『PoIC + 43Tabs』システムを、私は大変気に入っています。

Tips #